歯医者さんに対して抱く疑問として挙げられる事の1つとして、治療費は欠かせない事柄でしょう。

例えば、「奥歯にクラウンを被せる場合、保険が使える銀歯ならば4千円ほどだと思いますが、これを白い審美性により優れたセラミック製にすると自費診療となり10~20万円になります。」などと言われる事があります。

それは出来る事なら白い歯にしたいけれど、金額は何十倍にも!でもこの差は一体どうして?そもそも、保険診療と自費診療、何がどう違うのでしょうか。

国民皆保険制度がある日本では、全国どこの病院・医院でも同じ治療なら同じ費用になります。患者は支払う額も1~3割負担のみ。これは歯科治療に置いても同様です。

ただし、歯科治療では保険適用となる範囲は非常に限定されているのです。クラウンや入歯をつくる時の材料も、歯によって細かく決められています。それはどうしてなのでしょうか。

日本の国民総医療費は40兆円。そのうち歯科医療費は約2兆7千億円。割合としてはわずか6.8%ほどです。

それを約10万人の歯科医師が使うのですから、治療のすべてを保険で認めるとあっという間に医療費は底をついてしまうでしょう。限られた医療予算の中で、「命にかかわる病気は最優先」ということなのでしょう。実際、欧米や入歯やクラウンを健康保険でつくれる国はほとんどありません。

日本では数千円でつくれる銀歯さえ、海外に行けば数万円から10万円かかります。そう考えるとありがたい保険制度ではありますが、だからこそ「より快適で、より見た目の良いものを希望するなら自費診療で」というルールになっているのです。保険が使えない治療は主に「インプラント」「歯列矯正」「審美」「予防歯科」等です。

一方で、「虫歯治療」「歯周病予防」「ブリッジ・クラウン・入歯などの補綴物」は自費か保険かで選択する事が出来ます。とはいえ、保険が使える虫歯治療を自費でやる人は割合的には少ないもの。

でも、虫歯の治療が終わったらクラウンを自費にする事が可能です。本来は、一つの病気を1か所の病院で治療する場合、保険診療と自費診療を同時にする事は認められません。これは「混合治療」という違反行為となります。でも歯科の場合、「患者が希望した場合に限り、歯冠修復や欠損補綴を保険外診療の扱いにする」という『通則』があるのです。希望すれば保険診療の途中で自費の診療を組み入れる事が可能です。という所で冒頭の疑問に戻りますが、保険と自費の価格差は材料費の違いだけ、という事なのでしょうか。

答えるとするならば、「価格は歯1本の値段で決まるというわけではなく、歯の型を採る材料も、歯科技工士が製作にかける時間もまったく違います。すべてが反映されての価格差です。」でしょうか。自費診療の場合、値段は各歯科医院で独自につける事ができます。ですので、十分に納得できるまで歯科医師と話しをするべきです。

逆を言えば、それだけの説明をしてくれない歯科医院での治療は避けるべきだと言えるでしょう。ホームページなどで近隣の自費診療の価格を比較してみるというのも手だと思いますよ。

                     

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